Re:玉手箱

鳥居

　電車から降りると勢いよく新鮮な空気を肺に流し込んだ。多少なり高い建物が増えていたが、遠方に見える山並みは昔と同じように俺の帰りを出迎えてくれた。

　駅員に切符を渡し、駅を出てから繁華街を通り抜ける。そこから少し行った先で枝道に入ると、それは鬱蒼と茂った木々に囲まれひっそりと佇んでいた。

｢懐かしいな｣

　思わず独り言が漏れる。俺の目の前にあるのは子供の頃から全く姿を変えていない神社だった。