第二章 オフィス

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「それでは部長、私はこれで失礼します」 業務用のPCにデータを打ち込んでいた中野の耳に、離れた場所からの敷島の声が届いた。 彼女はタイピングを止めて、そっと声の方角へ顔を向けた。 「敷島君、今日は午後年休だったな」 報告を受けた企画部の乃木部長が、思い出したように言った。 他の部署の責任者と比べて一回り以上老けて見えるのは、丁稚時代から一つ一つ昇進してきた叩き上げの人物だからだ。
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