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「どの道、俺が扱うには重過ぎるテーマだ。日常、あるいは幸せの只中では、そんなことに興味すら抱かない。せいぜい死に際にでも、考えるようなことだ」
「それじゃあ、ずっと分からないまま過ごせ、っていうこと?」
「そういう問題に関しては、余計な関心を持たない方が幸福でいられる」
何かを諭すように、彼は真っ直ぐに中野を見つめた。
「関心が問題を生む。真実のためには、謎にしたままの方がかえって都合がいい。そういうことは、世の中には山ほどあるのさ」
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