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「あの…土方さんの言ってることは正しいと思いますよ」
「ゆっゆきこさん?」
「私みたいな身元もはっきりと分からないのを置いてくれるなんて普通はないですよ」
「ッでっでも…」
「でも私だって生死がかかってますから。…土方さん」
「なんだ?頼んだって置いてやらねぇぞ」
土方の言葉に沖田と近藤が土方を睨み付けた。ゆきこはその言葉に頷いた。
「違います…」
「じゃあなんだ?」
「もし…もし、私がこの格好のまま外に出たら、どうなりますかね?民を守る新撰組が、傷ついた少女を投げ出した。きっと、世間にはそう写りますね」
ゆきこがそう言った瞬間、土方の表情が変わった。真っ青を通り過ぎて真っ白になっている。
「てめぇ…」
「…土方さん」
総司も少し顔をしかめて土方を伺った。ゆきこも、少し心が痛かったが土方が答えを出すのを待っていた。
「……どうやら、とんでもねぇ奴を拾っちまったらしいな。俺達は…」
「では…?」
「俺も…許可する」
諦めたように頷いた土方に総司と近藤はニッコリと微笑んだ。
「ゆきこさん凄いですね!」
「少し、卑怯ですよね…」
「いいんですよ。別に」
「じゃあ、歳の許可も取れたことだし、これからよろしくな」
土方とは反対に優しく包み込むような穏やかな笑みを浮かべ、ゆきこの頭に手を当てた近藤にゆきこも微笑んだ。
「はい。動ける様になったら女中をやらせて貰います」
「頼んだ」
「じゃあ、幹部達の自己紹介もするか!」
「後、菊もだな」
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