―陽向屋―

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夕餉を食べ終わり、片付けようと立ち上がったとき、空に着物の裾を掴まれた。菖蒲はもう部屋から出ていた。 ゆ「空?」 空「あのね…片付け終わったら私の部屋に来てほしいの…」 その表情が、親とはぐれた子供のように不安そうで、ゆきこは安心させるように頷いた。 ゆ「分かった。片付け終わったらすぐに行くよ」 そう言うと、空は頷いて部屋から出て行った。ゆきこは早く空の部屋に行くため片付け初めた。 片付け終わったゆきこは空の部屋に向かった。ゆきこと空の部屋は隣。ゆきこは空の部屋に行く前に自分の部屋に入った。 最後に出たときと、全く変わっていなかった。ゆきこは文机の上に置いてある、手拭いに丁寧に包まれているモノを手に取り開いた。 それは総司に買って貰った腕輪だった。あの時は、つけていなくてずっと不安だった。 ゆ「良かった…」 ゆきこはそれを腕につけて、部屋から出て空の部屋に向かった。 部屋に声を掛けてから入ると、空は目を閉じて座っていた。 ゆ「どうしたの?」 空「あのね…私、菖蒲さんに拾われたって言ったでしょ?」 ゆ「あ…うん…」 空「それね、実は嘘なの。本当は…私の両親は…父に…母を殺されたの…」 その言葉を理解するのに、少し時間が掛かった。父が母を…?コロシタ? でも、その言葉を聞いたとき、お父さんを思い出した。お母さんが死んでから、少しずつ狂っていった、自分のお父さんを… ゆ「…お、父さんは…?」 空「母を殺して自分も死んだわ…いつからか、私たち家族は狂っていった。まだ私は何も出来ない、無力で非力な子供だったわ…」 そう言って空は自分の過去を話し始めた。それは、私に言ってるようで、自分に言い聞かせるような話し方だった… .
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