―吉田稔麿―

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空「…今のが、私の過去だよ」 ゆ「……」 何も言えなかった。まさか、空がそんなことを経験をしていたなんて思ってもなかった。いつも明るくて、元気な笑顔を浮かべている空が… そんなゆきこの様子に、空はふと笑った。ゆきこは空をぎゅっと抱き締めた。 空「私ね、光陽っていう名を捨てたのに後悔なんてしていないから…確かに光陽っていう名は母に貰った大切な名よ。でもね空も私の大切な名なの。だから、私は光陽でもあるし空でもあるの。 二人の母と二つの名、二つなんて凄いでしょ?」 そう言って空は晴れやかに笑った。その表情はまるで空のようだった… ゆ「空…私、わたしも話すよ。私の家族のこと…」 こんな大切なことを教えてくれた友達に、ゆきこは自分のことを話した。 空「そっか…お父様が…」 ゆ「うん…」 空「…大丈夫だよ。私はどんなゆきこだって大切な友達だから」 ゆ「…ありがとう」 二人の絆が一層固くなった瞬間だった。 その夜二人は、同じ布団で手を握りながら眠った。 .
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