―吉田稔麿―

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空「とっても良い人だからね!」 ゆ「あ、うん…」 間違いない、この人は…吉田 稔麿だ…彼らの、新選組の敵だ。 チラ…と、吉田様を見ると私の考えなどお見通しとでも言うように笑っていた。 「ねぇ…少し話さない?」 その言葉に拒否権なんてなかった。 店の裏に出て人が居なくなったのを確認したのか、吉田様は笑顔の仮面を引っ込めた。 「ねぇ、君は僕の正体を知っているでしょ?」 ゆ「それが素ですか…。吉田 稔麿様」 「やっぱりね。どうする?新選組の奴らに言う?」 クツクツと面白そうに笑っている吉田様。きっとこの人は分かっているんだ。私がなんて言うか… ゆ「言いません」 言えるわけない。もし言ったら空達に迷惑が掛かる。分かってて、この人は…頭が良いんだ。 「へぇ…」 ゆ「それより、なんで私が新選組の人達と知り合いだって分かったんですか?」 「何度か新選組の奴らと歩いているところあるしね」 ゆ「そう、ですか…じゃあ私はこの辺で失礼します」 そのまま吉田様の前を通り過ぎようとしたとき… グイッ ゆ「えっ?」 腕を引っ張られて、吉田様の腕の中に閉じ込められてしまった。顔を上げると、意地悪そうな顔をしている吉田様と目があった。 ゆ「なんなんですか…」 「いや…何でもないよ。また来るから」 そう言って、吉田様は腕を放してスタスタと歩いていってしまった。なんなんの一体。はぁ、お店に戻ろう。 お店に戻ると、見慣れた人が居た。良かった、吉田様が帰った後で…ホッと息をつきながら、その人に近寄った。 ゆ「総司さん」 総「ゆきこ。どこに居たんですか?」 ゆ「少し外に…」 総「そうですか」 頭を撫でてくれるこの手が、暖かくて大好き、その笑顔もサラサラな長い髪も…全部全部大好き。 空「あれ?ゆきこ、吉田様は?」 ゆ「え?えと…帰ったよ」 空「えー!教えてよぉ…」 ゆ「ごめんごめん」 お願い空。総司さんの前でその話しをしないで! そんなゆきこの様子に気付かない空はどんどん聞いてくる。 空「でも、本当に良い人だったでしょ!」 ゆ「あ…うん」 知らないって良いな… というか、後ろが怖くて振り向けない。空が吉田様の話しを始めてからオーラが… .
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