―吉田稔麿―

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総「空さん」 空「はい?」 総「少し、ゆきこを借りてもいいですか?」 空「いいですよ!」 ちょっとー!? そこは駄目だって言ってよー!そう思った時、背中と膝裏に腕が回って気が付くと総司さんの顔がすぐ近くにあった。 ゆ「…え?そ、総司さん!」 総「さぁ、行きますよ?」 ゆ「じ、自分で歩けます!」 助けを求めて空を見ると、目をキラキラさせて見ていた。 え?た、助けてよー!? 空「い~な~ゆきこ。行ってらっしゃい!」 そう言いながら、手を降る空。というか、一応私はまだ仕事中… それを伝えると、 空「菖蒲さんには私から言っておくから!」 総「という訳で、行きましょう」 総司さんに連れてこられたのは、さっきまでいたお店の裏。総司さんは降ろした私の顔のすぐ横の壁に手をついた。 総「さっきから思っていたんですが…」 ゆ「はい?」 総「この香りは誰のですか?」 …え? 総司はゆきこの首筋に顔を近づけてクンクンと匂いをかいだ。総司を押し返そうとすう小さな手を掴む。 甘味の甘い匂いに微かに混じっている男の匂い… ゆ「そっ総司さん…?」 総「ゆきこ…私が来る前に誰といましたか?」 ゆ「え…?えと…」 い え な い まさか、あなた達の敵と一緒にいました。…なんて言えるわけない… …って、あれ?なんで私、吉田様に抱き締められたのに怖くなかったんだろう…? 総「ゆきこ?」 ゆ「え?あ…すいません」 総「先程、空さんが言っていた吉田とかいう奴と一緒にいたんですか?」 ゆ「…はい。多分その時に香りが移ってしまったんですね…」 総「そうですか」 ゆ「さっ、戻りましょ?」 言えるわけない…。 でも、それは裏切りでもあるのかな…?この優しい人達を、欺いていることになるのかな…? 答えは…是。 .
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