―吉田稔麿―

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ゆ「うん。色々知りたいな」 ゆきこは信じることに決めたのだ。彼は別にゆきこから情報を聞き出そうとも、脅そうともしなかった。やろうとすれば出来たのに… 熱で弱っている今なら簡単に出来るのに、稔麿はしなかったのだ。 だから、この人を信じられると思った。 稔「何から話そうか… そうだね…じゃあ僕の仲間の話しをしてあげる」 そう言って、稔麿は今まで見たことのないような穏やかな表情をしながら話し始めた。 稔「そうだな… まず、一人目は高杉 晋作。昔は暴れ牛ってあだ名がついていて、思いつきで上海に行っちゃったりしてたよ」 ゆ「暴れ牛って…」 思いつきで上海に行くなんて凄いコトする人だなぁ… でも、色々知れて嬉しいかも。 稔「二人目は桂 小五郎。この人は…特に何もない平凡な人だから別にいいや」 ゆ「いいの?」 稔「いいよ別に。まぁ、とりあえずこんな感じかな?自分のことなんて、どうやって話したらいいか分からないから短くなっちゃったね」 ゆ「ううん…嬉しいよ」 稔麿も、ゆきこを信じて仲間のことを話した。ふと、いつも眉間に皺を寄せて煙管をふかしている仲間を思い出した。 こんなこと仲間に話したらどんな反応するのかな? 容易に想像できて笑えた。 ゆ「稔麿はその人達が大好きなんだね?」 稔「え?どうかな…なんで?」 ゆ「無自覚?稔麿、その二人の話しをするとき凄く穏やかな顔してたよ?」 そんな顔しなくても…稔麿やっぱり無自覚だったんだ… ふと、笑みがこぼれた。本当は優しいんだよなぁ…。 ゆ「本当は好きなんでしょ?」 稔「…さぁ。分かんないや」 ゆ「…でも、会ってみたいな…」 うん。会ってみたいな。稔麿の仲間っていう人達に、こんなに穏やかな表情をさせてくれる仲間の人達に。 稔「会いにいく?」 ゆ「え?」 稔「あ、もちろん熱が下がってからね?」 ゆ「…いいの?」 そう言うと、稔麿はもちろん!と微笑んだ。嬉しいかも… だけど…と、稔麿は続けるた、 稔「早く熱を下げなきゃね?もうそろそろ効いてくる筈だけど…」 …え? グニャリと視界が歪んで身体が後ろへ倒れた。稔麿がそれを支えてゆっくり寝かせた。 ゆ「な…に?」 稔「ごめんね?睡眠薬いれといたんだ。でも、こんなに保ったのはゆきこが初めてかも」 稔麿の笑顔を最後にゆきこの意識は沈んでいった。 .
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