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稔「だって、晋作がゆきこは強いのかー?って聞くから」
ゆ「だからって…」
手のひらで遊ばせていたクナイを稔麿に向かって投げた。
それを軽々と掴むと、畳に置いた。
晋「大した奴だな…これなら護衛は必要はなさそうだな」
稔「そうだね。それよりゆきこは随分変わったね」
卓袱台の前に腰を下ろしてお茶を淹れているゆきこを稔麿はジッと見つめた。
晋作もゆきこからお茶を貰って確かに…と、思った。
初めて見たときは、まだ少女から女性になる儚さを持ってる、可愛いとも美しいとも言える容姿を持っていたが、
男装するとかなりの美少年だった。中性的な顔立ちのためなんとか男に見えた。
晋「まぁ、いいんじゃねぇか?」
ゆ「ありがとうございます?でも、胸が苦しいんですよね…」
晋「……我慢しろ」
ゆ「はーい」
眉間に皺を寄せている晋作を見て、ある人を思い出した。いつも眉間に皺を寄せて怒鳴りつけていた。
ゆ「歳兄みたい…」
思わず口に出していた。すると、は?という顔をされた。
当たり前かな…?
でも、本当に似てるかも…顔じゃなくて、雰囲気が?
晋「歳兄って…土方か?似てるか?」
ゆ「はい。雰囲気が似てるなぁって…」
そんな嫌そうな顔しなくても…
それを聞いて稔麿はお腹を抱えて笑っていた。そんなに面白いのかな?
晋「稔麿!笑うんじゃねぇ!?」
ゆ「…そんなに嫌がらなくても」
稔「ぶはっ!あはははははゆきこ、さいっこう!」
そこまで笑わなくても…晋作は稔麿を睨みつけながらゆきこに貰ったお茶を一気に飲み干した。
晋「あっつ!!」
稔「馬鹿だなぁ…はぁー笑いすぎた。ゆきこ、僕にもお茶ちょーだい?」
ゆきこは淹れたてのお茶を渡した。
稔麿はお茶を飲みながらゆきこの髪に触れた。
といっても鬘だが、
ゆ「?」
稔「…」
お茶を置いて、両手で鬘を取った。
は?鬘に隠されていたゆきこの髪が出てきた。
ゆ「??」
稔「やっぱりこっちの方がいい」
ゆ「髪?だって男装しないと…」
稔「やだ」
ゆ「やだって…」
どうしろって言うのよ…
稔麿から鬘を取り返して貰おうとした所で晋作が声を掛けた。
晋「ゆきこ。とりあえず男装はしとけ、んで…刀も持ってろ」
ゆ「はーい」
鬘を取り返して被り直すと稔麿は不機嫌そうに頬を膨らませた。
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