―敵側―

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ゆ「あまり、なめないで下さい」 晋「…ふっ…」 ゆきこの行動を黙って見ていた晋作はふ…と、笑みを零した。 怪訝そうな顔をしているゆきこに手を差し出した。掴まれ…ということだろうか?とりあえず掴まって立ち上がった。 晋「本当に面白いなお前は」 ゆ「?」 晋「別に全部の話しを信じられたわけじゃねぇが、一応調べておかねぇとな。 まぁ、お前は俺の期待以上の行動をしてくれたがな」 まさか… バッと後ろを振り返るとばつが悪いとでもいうように目線を逸らしていた。 分かっていたの!? ゆ「ご、ごめんなさい!?」 慌てて、床に押し倒した忍に手を差し出して立たせた。 多少の手加減はしていたが、肩はだいぶ痛いはずだ… ゆ「だ、大丈夫ですか?」 忍は肩を軽く回して調子を整えた。大丈夫そうだと確認したゆきこはもう一人の忍の手を掴んだ。 手からは線が一本入っており血が流れていた。とりあえず手拭いを口で破り手に巻き付けた。 ゆ「知ってたんなら教えてよっ!?」 稔「いやぁ…ゆきこなら大丈夫かなぁって思って」 ゆ「何が!?…ごめんなさい…」 晋「気にするな。いきなりヤった俺らも悪いしな。しかし、ゆきこは本当に強ぇな…」 稔「それよりさ、お土産買ってきたんだ。食べない?」 じゃあ、お茶淹れてくる!と、ゆきこは奥へ走って行ってしまった。 ゆきこが見えなくなった後、稔麿が晋作と忍二人を拳でぶん殴ったのは秘密だ。 ゆ「あれ?高杉さんどうしたんですか…頬が腫れ上がっていますよ?」 心配そうに伺ってくるゆきこにチラリと稔麿を見た。知らぬ顔で団子を食べているが、完全に目が据わっていた。 晋「なんでもねぇよ。気にすんな」 ゆ「でも…とりあえず冷やしておかないと…」 晋「気にすんな」 ゆ「でも…」 晋「気にすんな」 最後は晋作に負けたゆきこは腑に落ちない顔をしながらお茶を飲んだ。 これはこれで幸せなのかもしれないとゆきこは密かに思っていた。 .
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