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「ゆきこさん…身体、キツいですか?」
「少しだけ、痛いです…でも、大丈夫ですから。平気です」
「無理しなくてもいいですよ?」
「…っ、大丈夫です…」
初めて会った人にこんなに優しくして貰うのは初めてで涙が溢れそうだった。思わず顔を覆うと、総司はそっとゆきこを覗き込んだ。
「どうかしましたか?」
「…なんでもないです」
総司は静かにゆきこの頭に手を乗せた。一瞬、身体を震わせたがゆきこはその手の温もりを、大人しく感じていた。
「あの…」
総司は何か言いにくそうに目を泳がしている。ゆきこはそんな声を聞いて手を退かした。
「はい?」
「その…皆さんがゆきこさんに自己紹介したいと言ってるんですが…」
「あ…」
「その…大丈夫ですか?」
「はい…大丈夫です」
少しだけ不安そうに、けれどしっかり頷いたゆきこに、総司は安心したように立ち上がって、部屋から出て行った。
暫くすると、複数の足音と話し声が聞こえてきて、襖が開いた。
一番最初に総司が入ってきて、その後から近藤、土方と続いて沢山の人が入って来た。結構広かった総司の部屋もこれだけ入ると狭く感じる。
「では、ゆきこ。早速自己紹介したいと思う。余り長居はせんので、少し我慢してくれ」
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