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稔麿達と一緒に生活するようになってからはや一週間。
忍の二人とも仲良くなった。二人の名前は珀と沙羅。兄弟で晋兄に仕えているらしい。
あ、晋兄というのは高杉さんのこと。堅苦しいのは苦手らしい。
男装は今でも続けている。もうサラシのキツさにも慣れてきて動きやすい分、男装の方が楽だった。
晋「ゆきこ」
ゆ「何ですか?」
晋「今日は客が来るから茶菓子でも作ってくんねぇか?」
お客様…誰だろ…
それよりお茶菓子か。作るのは一週間ぶりかな?久しぶりだし楽しみだなぁ…
ゆ「はい!お団子で良いですか?」
晋「あぁ。任せるよ」
ゆきこは早速、準備に取りかかった。
宿屋の中に居るときは普通に女人の格好をして生活していた。
元々、髪を結ぶのがあまり好きではないゆきこは料理をする時ぐらいしか髪は結わない。髪紐を取り出して頭の上で結んだ。
あとはあんこを絡めるだけっと…
串に刺してあとはタレやあんこを絡めるだけになったとき、宿屋に大きな声が響いた。
「晋作ーー稔麿ーー」
その声に、晋作と稔麿は部屋から出て来た。不機嫌なオーラを丸出しで、
二人は声を発した人に近寄って行くと両方の腕を掴み部屋に連行した。
お客様ってあの人のこと…?じゃあ急がないと!
出来上がった団子をお皿に盛り付けて、お茶を淹れてお盆に乗せて晋作達が入って行った部屋へ向かった。
ゆ「ゆきこです。入っても平気ですか?」
稔「ゆきこ?良いよ入っておいで」
その言葉と同時に襖が開いた。きっと、ゆきこの両手が塞がっていて使えないと察してくれたのだろう。
ゆ「ありがとう」
稔「いーえ」
ありがとうの意味を込めて笑うと稔麿も優しく微笑んだ。
ふと、部屋に視線を移してゆきこは固まった。
いや、固まる以外に何をすればいいか分からなかった。
何故なら…先程のお客様が倒れていたから。なのに、晋作は普通に煙管を吸ってるし、稔麿なんて固まって動かないゆきこからお団子を盗み食いしていた。
ゆ「えと…この方は…」
晋「桂。桂 小五郎だ」
ゆ「……」
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