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ゆきこはお盆を稔麿に押し付けて倒れている小五郎に駆け寄って体を揺らした。
ゆ「えっと…桂さん。大丈夫ですか!?」
体を仰向けにして、頭を膝に乗せる。その瞬間後ろで凄まじい殺気を感じた。
しかも複数。
額を撫でてみれば、ポッコリと盛り上がっていてたんこぶが出来ていた。
ゆ「あちゃー…見事にたんこぶが出来てる…沙羅、手拭い持ってきて…って稔麿?晋兄?どうしたんですか?」
後ろを振り返って沙羅にお願いをしたときに、晋作と稔麿を見ると殺気を垂れ流していた。ついでに天井裏からも…
ゆ「…えと」
「ゆきこ。はい」
ゆ「あ、ありがとう…あのさ、あれは何?」
「あー…気にしないでよ」
沙羅から、濡らした手拭いを貰って額に当てた。すると、んん…と声を出して小五郎が目を開けた。
ゆ「あ、大丈夫ですか?桂さん」
桂「ん…あぁ、大丈夫だ」
額に乗った手拭いを押さえがら起き上がった。ゆきこを見て首を傾げた。
桂「君は誰だ?」
ゆ「朱里 ゆきこといいます。今は此処に住まわせて貰っています」
それより…チラリと後ろを振り返ってため息をついた。殺気が全然収まっていない。まぁ、天井裏の殺気は収まっていたが。きっと沙羅が説得してくれたんだろう。
ゆ「稔麿、晋兄…殺気をおさえて下さい…」
ゆきこが言うと、小五郎が今更ながら二人の殺気と存在に気付き顔を青くさせた。だが、ゆきこも不思議だった。何故そんなに怒っているのか…
ゆ「…どうしたの?」
立ち上がって稔麿からお盆を受け止って卓袱台に置いた。ちなみに小五郎は部屋の隅で怯えていた。
稔「膝枕…」
ゆ「…え?」
稔「僕もして貰ったことない…」
子供のようにぷいっと顔を逸らした稔麿に思わず吹き出した。稔麿はふてくされたように座ってお団子を食べ始めた。
晋作もお団子を食べ始めた。
晋「うん…うめぇよ」
ゆ「良かったぁ…」
安心したように笑えば、ん。と差し出した。一個だけ口に含んだ。
小五郎は落ち着いた?と様子を伺いながらゆっくり近寄ってきてお団子を食べた。
桂「うん。美味いな!」
稔「それなら、どんどん食べなよ」
そう言って団子を串がついたまま一本まるごと突っ込んだ。
可哀想だなぁ…
来て早々こんな目に遭うなんて…
喉に団子を詰まらせて咳き込んでいる小五郎にゆきこが憐れみの視線を送っていた。
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