―決意―

2/10
前へ
/592ページ
次へ
晋「ゆきこ、機嫌なおせよ…」 稔「別にお酒呑むだけだから…ね?」 あの後、無理やり男装させられて島原に連れてこられたゆきこは不機嫌だった。 なんとか、ゆきこの気持ちを静めようと稔麿達が頑張るが、治る気配はなかった。 桂「此処にするか」 店に入ると遊女が出て来た。同じ女でも此処まで違うんだ… 自分の容姿を考えると少しショックを受ける。 「いらっしゃいませ…御四方でよろしいですか?」 晋「ああ、」 「では、此方に…」 遊女に着いていき、ある部屋の前を通りかかったとき… ゆ「……」 部屋の襖が開いて出て来た遊女の隙間から見えたのは… 稔「ゆきこ…?」 ゆ「ぁ…」 思わず目を逸らしてしまった。だって、部屋に居たのは… 晋「どうした?」 ゆ「…なんでもないです。気にしないで下さい」 もし、新選組の人達と稔麿達を選べって言われたら、私はどちらを選ぶんだろう? 居場所をくれたあの人達? それとも、 助けを、手を差し出してくれた人達? 分からない… だって、 私はみんな大切だから 誰も居なくなって欲しくない 桂「あはははは!」 晋「……」 …なにこの状況? 桂さんってお酒弱かったんだ… 晋兄は遊女の人にお酌して貰ってるし… 稔麿も… やっぱり、綺麗な人にお酌して貰った方がいいのかな? ゆ「はぁ…」 「どうされましたか?先程からお酒が進まないようですが…」 ゆ「いえ…」 一応、ゆきこの隣にも遊女はいる。だがゆきこはお酒なんか呑んだことないしお酌して貰っても呑んでいいのか分からない。 唯一、肴だけは食べれるが遊女の人に悪いかなぁ…と思っている。 ゆ「あの…名前は?」 「姫緒といいます」 ゆ「姫緒さんですか…私は雪斗といいます」 妖艶。その言葉がピッタリ似合いそうな微笑みを浮かべた姫緒に、ゆきこは素直に羨ましいと思った。 ゆ「綺麗…ですね」 なんの嫌味も、裏もいやらしさも上辺だけの賞賛でもなく、心からの賞賛さんに、遊女は素で驚いた。 「初めてです…」 ゆ「そうなのですか?」 本当は、こんな素直なお客様を見るのは初めてです。だ、 こういう御方になら喜んでお酌したいと姫緒は思った。 .
/592ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1416人が本棚に入れています
本棚に追加