―決意―

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稔「雪斗、呑んでるー?」 ゆ「あぁ、呑んでるよ」 あっちの世界で未成年はお酒なんか飲めなかったけど… 意外と美味しいかも。 でも、体が熱い…頭がボーっとしてくる。 「雪斗様?大丈夫ですか?」 ゆ「あ、はい。水を貰えますか?」 兎に角、しっかりしないと…と水を飲んで頭を少しハッキリさせた。 と、その時背中に重さが加わった。 ゆ「稔麿…?」 稔「ん~…ゆきこ?泣いちゃだめだからね?」 ゆ「え?何言って…」 「ゆきこ…?」 あ…まずい 稔麿は相変わらず背中に抱き付いてるし、小五郎は酔っ払ってるし晋作も酔っ払って使い物になりそうにない。 ゆ「姫緒さん。すいませんが、桂さんをお願いできますか?」 「え?はい。分かりました」 姫緒が小五郎の方へ行ってから、ゆきこは稔麿の頬を軽くつねった。 だが、酔っ払っていれ稔麿にはあまり効果がないようだ。 ゆ「ゆきこって言っちゃだめじゃん…」 姫緒に聞こえない声の大きさで稔麿を叱ってみた。まぁ、あれだけ小五郎が騒いでいたら聞こえないと思うが… 稔「だってぇ…ゆきこずっと悲しそうなんだもん」 ゆ「だから、雪斗だって」 稔「ゆきこ、悲しいときは言ってって言ったじゃん?」 その声がいきなり真剣な声に変わって、え?と後ろを振り返ると、いきなり視界の高さが変わった。 ゆ「?」 稔「姫緒。隣の部屋は空いてる?」 「え、えぇ…隣が空いています」 ゆきこは稔麿に担がれて部屋を出て隣の部屋に入った。 部屋に入ると、そっと稔麿の胡座をかいた足の上に下ろされた。 ゆ「稔麿?」 稔「さて、さっき何があったの?」 ゆ「何って…別に何も…」 稔「嘘。言ってごらん?」 なんで、分かるんだろう… ただ黙り込んだままのゆきこの鬘を取って、出てきたゆきこの地毛を撫でた。 稔「言ってごらん?」 ゆ「…わ、たしね…稔麿達と、一緒に…過ごすって決めたの…」 稔「…今も一緒にいるよ?」 ゆ「違う、の…新選組の人達じゃなくて…稔麿達を守るって決めたの…」 少なからず稔麿は驚いた。ゆきこを連れてきたあの日から、ゆきこの一番は決まっていると知っていた。 稔「どういう心境の変化?」 ゆ「…私は、稔麿達を一番に考えるって決めたの…」 稔「やっぱり何かあったんじゃん…馬鹿だね。ゆきこは」 ゆ「うるさい…」 .
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