1416人が本棚に入れています
本棚に追加
/592ページ
稔「まったく…」
あのまま寝てしまったゆきこを抱き上げた。寝ている時まで気を張っていなくてもいいのに…
そっと髪を撫でれば少しだけ表情を和らげた。
部屋を出て、そのまま少し廊下を歩いた。
遊郭の廊下を歩いていると目の前に現れたのは…
あぁ…あいつらか…ゆきこが心をすり減らしてまで気にかけていたのは…
稔「こないだはどーもオキタサン」
総「あなたはこの間の…栄太郎さんですか?」
歳「なんだ総司知り合いか?」
総「えぇ…ちょっと」
先程から気になっているのは稔麿の腕の中にいる少女のこと、
隣にいる土方も気付いたらしく眉間に皺を寄せた。
歳「おいてめぇ…ソイツは…」
稔「なに?」
総「ゆきこ…ですか?」
稔「だったら?」
返すつもりはさらさら無い。これだけこの少女を傷つけてきたのだ、返せばこれ以上傷つけられる可能性がある。
総「何故あなたの所にいるのですか?」
稔「キミに関係ないよ。僕は急いでいるんだ退いて」
足を一歩踏み出した瞬間、クナイが飛んできた。稔麿はそれを避けて後ろに下がった。今までいた所にはクナイが刺さっていた。
「副長、沖田くん、下がってて」
総「山崎さん!?」
歳「…何故だ」
「こいつは、吉田 稔麿。お嬢ちゃんは随分厄介な所にいるみたいだね」
…沙羅、珀。
特別な指示を出して呼ぶと、すぐに目の前に現れた。
この二人が居るならなんとかなるだろう。流石にゆきこを庇いながら戦うのは辛かった。
稔「二人とも、頼める?」
「任せて下さい」
「ゆきこは私たちの仲間ですから」
たった一週間で忍二人はゆきこを仲間と言うようなっていた。それ程までにゆきこは仲間として信用されたのだった。
総「待って下さい!ゆきこを!」
稔「いい加減にしなよ?どれだけゆきこを傷つけたら気が済むわけ?
どれだけ、この子の心をすり減らしたら気が済むわけ!?
いい加減にしなよ。
もう、休ませてあげろよっ!」
総「っ…」
.
最初のコメントを投稿しよう!