―決意―

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稔「まったく…」 あのまま寝てしまったゆきこを抱き上げた。寝ている時まで気を張っていなくてもいいのに… そっと髪を撫でれば少しだけ表情を和らげた。 部屋を出て、そのまま少し廊下を歩いた。 遊郭の廊下を歩いていると目の前に現れたのは… あぁ…あいつらか…ゆきこが心をすり減らしてまで気にかけていたのは… 稔「こないだはどーもオキタサン」 総「あなたはこの間の…栄太郎さんですか?」 歳「なんだ総司知り合いか?」 総「えぇ…ちょっと」 先程から気になっているのは稔麿の腕の中にいる少女のこと、 隣にいる土方も気付いたらしく眉間に皺を寄せた。 歳「おいてめぇ…ソイツは…」 稔「なに?」 総「ゆきこ…ですか?」 稔「だったら?」 返すつもりはさらさら無い。これだけこの少女を傷つけてきたのだ、返せばこれ以上傷つけられる可能性がある。 総「何故あなたの所にいるのですか?」 稔「キミに関係ないよ。僕は急いでいるんだ退いて」 足を一歩踏み出した瞬間、クナイが飛んできた。稔麿はそれを避けて後ろに下がった。今までいた所にはクナイが刺さっていた。 「副長、沖田くん、下がってて」 総「山崎さん!?」 歳「…何故だ」 「こいつは、吉田 稔麿。お嬢ちゃんは随分厄介な所にいるみたいだね」 …沙羅、珀。 特別な指示を出して呼ぶと、すぐに目の前に現れた。 この二人が居るならなんとかなるだろう。流石にゆきこを庇いながら戦うのは辛かった。 稔「二人とも、頼める?」 「任せて下さい」 「ゆきこは私たちの仲間ですから」 たった一週間で忍二人はゆきこを仲間と言うようなっていた。それ程までにゆきこは仲間として信用されたのだった。 総「待って下さい!ゆきこを!」 稔「いい加減にしなよ?どれだけゆきこを傷つけたら気が済むわけ? どれだけ、この子の心をすり減らしたら気が済むわけ!? いい加減にしなよ。 もう、休ませてあげろよっ!」 総「っ…」 .
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