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稔「…この子の心はもう十分傷ついてボロボロになっているんだ。
もう、これ以上傷つけたら、この子は壊れてしまうよ?」
歳「お前の傍にいるなら傷つかないのか?俺達の敵側にいるお前達のところにいたら傷つかないのかよ!?」
今にも太刀を抜いて斬りかかってきそうな土方を見て、稔麿は少女を守るように刀を抜こうと構える。
稔「それは分からない。でも、君たちは気付いてた?この子は何時も笑っていたけど、泣いていたんだよ?まぁ、オキタサンにはよく泣いていたようだけど…」
だが、それもゆきこを傷つけていく原因の一つだった。
迷惑なんじゃないか、嫌われないか…
総「でも…返して下さい!ゆきこは…私が守ると決めたんですっ!」
稔「いい加減にしろよ…」
沙羅と珀は晋作に仕えてはいるが、稔麿と小五郎を守るのも仕事になっている。
晋作と小五郎も来てくれないかなぁ…
忍は沙羅と珀がいるけど、あとの二人は…
稔「はぁ…やっぱり僕がやるしかないかぁ…」
あんまりやる気はしないけど、ゆきこが関わるなら話は別。
本気を出しても構わない。
稔「絶対に…」
これ以上傷つけさせない。もう、泣き顔は見たくない。
前にいる二人も稔麿の意を汲んだのか刀を構えた。チラッと眠っているゆきこを見た。余り暴れ過ぎると、ゆきこに被害が及ぶ…
稔「さて…始めようか?」
そう言った瞬間、忍達はシュッと姿を消した。まぁ、此処でやられても邪魔なだけだし。
それより…目の前にいる二人は稔麿の出方を見ているのか斬りかかって来なかった。
稔「来ないなら…こっちから行くけど?」
総「…」
無言で斬りかかって来た総司の刀を軽く受け止める。すると横から刀が稔麿の懐目掛けて突き出てきた。
刀を片手で持ち、鞘でそれを受け止めて総司の刀を弾く。
土方と稔麿が二人で斬り合いを始めると総司が隙を見て突きを繰り出した。
総司の三段突きは流石の稔麿も堪えたらしく後ろに飛んで間合いをとった。
稔「…」
総「…」
歳「…」
三人は、再び構え直した。そして…
二人が一斉に稔麿に斬りかかってきた。
土方の刀を受け止めて総司の刀を小太刀で受け止めようとした。が…
土方に手首を掴まれて小太刀を抜けなかった。
ヤバい…刀が目の前に迫ってきて、稔麿は覚悟を決めた…。
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