―判らない心―

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さて、と… 筆をとって土方は何かを書き始めた。 それはその日の夜に組長達を収集するという内容だった。 歳「おーい。誰かいるか?」 外に誰かいるだろうと声を掛けると襖が開いて一が入ってきた。 一「どうしましたか?副長」 歳「おぉ、斎藤君。これを組長達に渡してくれないか?」 書いた物を差し出すと、一は紙を受け取って不思議そうに首を傾げた。 一「これは…何かあったのですか?」 歳「…少し、な」 一「もしや…ゆきこですか?」 察しがいい… すぐに分かった一に肯定の意味も込めて頷いた。 まったく…コイツらはゆきこのことになると表情を変える。 一「ゆきこが見つかったのですかっ!?」 ゆきこが居なくなったと菖蒲達に聞いて大分経つ。どれだけ探しても見つからなかった。 歳「あぁ…見つかったよ」 一「どこに、ゆきこはどこにいるんですかっ!?」 歳「落ち着け斎藤君。…ゆきこは今、吉田達と行動を共にしている」 ハッキリと分かる程に動揺が伝わってきた。 まさか、そんなことは思いもしなかったように。 一「吉田、とは…吉田稔麿ですか?」 歳「そうだ…」 一「何故そのような…」 歳「分からない…その事に対して今夜話し合うつもりだ」 一「そう、ですね。分かりました渡しておきます」 一は、一礼して部屋を出て行った。 幹部達が一人の少女のために動くなんてゆきこが来るまではありえなかったことだ。 歳「上手くいかねぇことばっかりだ」 どうするかな、とりあえず近藤さんの所行って昨日の事話すか… 煙管を置いて、部屋を出た。 .
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