―判らない心―

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近藤を探して縁側を歩いていると目当ての人物を見つけた。 歳「近藤さん」 近「ん?歳か、どうしたんだ?」 まぁ、隣に来い。そう言ってバンバン隣を叩いている近藤の隣に座った。 近「それで?どうしたんだ?」 歳「今夜、組長達を収集することにした。内容はゆきこについてだ」 近「何!?ゆきこが見つかったのか!?」 ガクガクと肩を掴まれて前後に揺らされる。というか、これじゃあ何も言えない。 やっと離して貰った時には首が痛くなっていた。痛む首をおさえながら昨日の事を話した。 近「うーん…ゆきこが、吉田達と行動を共にしているのか…」 歳「総司の話しによるとゆきこは普段、男装してるそうだ」 近「何っ!?ゆきこが男装!?」 歳「名は雪斗」 雪斗。稔麿がつけたゆきこの男装の時の名前だ。雪のように美しく儚いゆきこにはぴったりだと近藤は思った。 近「そうだな。これからどうするか決める必要があるな」 歳「ああ、それじゃあ俺はこれで」 まだ、仕事が残っているんだ。そう言って立ち上がった土方はそのまま立ち去った。 一人残った近藤を優しい風が包む。 トシも、総司もみんな馬鹿げたデッカい夢を追い掛けた俺の夢に着いてきてくれた。 その分、苦しい思いも悔しい思いもさせた。 近「俺はお前らに何をしてやれるんだろうな…」 近藤の為に鬼になった土方。 近藤の為に人殺しになった総司。 全ては近藤のため、自分を殺して近藤に人生の全てをかけた。 近「さて、と…俺も残った仕事を片付けるか」 今夜の収集でもう誰も傷つかないないで欲しい。それだけが近藤の心の中に渦巻いていた。 .
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