―判らない心―

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夜になり、広間には近藤を始め組長達が集まっていた。 一番始めに口を開いたのは近藤だった。 近「知っている者もいるかもしれんが今、此処に集まって貰ったのは他でもない、ゆきこについてだ」 ゆきこの名を出した瞬間、全員の顔が引き締まった。 近「菖蒲達にゆきこが居なくなったと聞いてから、大分経つな。そのゆきこが見つかった」 新「本当かっ!?」 平「良かったじゃねぇか!」 左之「…待て二人共。まだ近藤さんの話しは終わってねぇよ」 喜ぶ二人を止めたのは珍しく左之だった。左之は二人を黙らせると視線だけで近藤に続けるよう足した。 近「左之の言う通りだ。まだ、終わっていない。ゆきこは今、吉田稔麿達と行動を共にしている」 広間には沈黙が広がった。その表情は土方、総司、一、近藤を抜いて誰もが驚いていた。いや、信じられないと言った方がいいだろう。 新「う、そ…だろ?」 平「ゆきこの事だから、きっと俺たちの敵って知らなかったんだよ!今から言えばきっと…」 信じられない。いや、信じたくない。誰もがそう思った。 だが、近藤を見ても土方を見ても総司を見ても、同意してくれる者は居なかった。 歳「ゆきこは、俺たちの敵の味方だとはっきりそう言った」 やっと見つけた少女は、自分達の敵。 土方の顔を見れば冗談を言っているようには見えない。 それが事実だ。 近「…これから、ゆきこと出逢った者は迷わなくていい。捕まえろ」 左之「捕まえろ…?何言ってんだよ。保護しろじゃねぇのか?」 歳「…敵は捕まえる。ゆきこにもその覚悟は出来ている筈だ。あちら側に居るってことは俺たちの敵。何らかの情報も持っているだろう」 敵として捕まえろ。果たしてそんなことが出来るのか? あの少女と剣を交えて、捕まえることなど出来るのか? 総「…分かりました。ゆきこは見つけ次第捕まえます。もし抵抗した場合どうしますか?」 近「…最悪、殺しても構わない」 総「分かり、ました。それでは私はこれで…」 ふらりと立ち上がって出て行こうとする総司の肩を平助が掴んだ。 平「なんでそんな簡単に頷けるんだよっ!?総司はゆきこが大切じゃないわけっ!?」 総「離して下さい」 平「なんで殺せって言われて、分かりましたって言えんだよ!?」 総「あなたに何が分かるっていうんですかっ!?」 平助の胸ぐらを掴んだ総司は後悔と悔しさが混じったような表情をしていた。 .
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