―判らない心―

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平「っ…分かるわけないじゃん!!」 総「なら言わないで下さいよ!」 お互いに胸ぐらを掴み合って険悪な雰囲気の二人を他の組長達は止めるわけでもなく見ていた。 歳「なぁ、近藤さん」 近「どうした?トシ」 歳「こいつらが、ゆきこを殺せると思うか?」 近「いーや。思ってないよ」 やっぱり…。この人は組長達に覚悟を決めさせたのだ。いざという時に、ゆきこを殺す時に迷わないように。 土方はチラッと周りを見回した。それぞれ表情は違うものの、考えていることは一緒だろう。 総「だいたい平助は昔から無鉄砲すぎなんだよ!!」 平「敬語忘れてるよっ!!」 総「細かい事気にしてんじゃねぇよ。子犬みたいな顔して!!」 平「顔は関係ないからっ!?」 いい加減煩くなってきた…声を掛けようとした時、一が動いた。 一は二人に近寄っていき拳骨で殴った。 総「いってぇ…」 平「だから敬語ぉ!!…てか、痛い!!」 一「いい加減にしろ二人共」 本当に同い年か?その光景を見た者はみんなそう思った。 平「一君はゆきこを殺せるのっ!?」 一「それが命令ならばな。というか、その捨てられた子犬のような目で俺をみるな。餌ならやらんぞ」 平「俺真面目に話してんのぉっ!餌なんていらないし!」 総「平助に真面目なんて似合わないな。どっちかって言うと、尻尾振ってる野良犬」 平「どんだけ犬にこだわってるわけ!?てか、犬を定着させようとすんのやめてっ!?」 収まるどころか逆に煩くなっている。 他の奴も三人を見て呆れているようだが、止めるつもりはないようだ。 歳「仕方ねぇ、ここは…左之、新八お前ぇらが行け」 左之「はぁっ!?ここは、俺が止めてやるよ。…じゃねぇのかよ!!」 歳「副長命令だ」 新「きったねぇぞ土方さん!!だから土方なんだよ!」 歳「関係なくねっ!?てか、呼び捨てにしてんじゃねぇよ!!」 ギャーギャー言い争っている大人三人と未だに揉めている三人。似たもの同士だと近藤はつくづく思った。 こういう時は関わらないのが一番だ。まだ仕事も残っているし、先に戻るか。 そして、近藤は早々と広間から抜け出したのだった。土方達がそれに気付いたのはそれから一刻後だったとさ。 .
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