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ゆ「……珀。気付いてるよね?」
珀「あぁ…」
宿屋を出てからずっと気にしていたが、着いてくるとは思っていなかった。しかも離れているからといって大分、堂々と後を着けていた。
ゆ「はぁ…」
珀「それ程に、雪斗は心配されているんだ」
ゆ「…そうなの、かな…?」
稔麿が分からない。とため息をこぼせば何故か珀に笑われて、頭をポンポンと軽く叩かれた。
とことん子供扱いをしてくる珀に、一応十五の女ですよ。と思った。
ゆ「…珀って何歳?」
珀「十八だ。沙羅が十七」
ゆ「へぇ…でも、年子だったんだね」
珀「といっても、俺と沙羅の生みの親は違うんだけどな。父上は同じだけど」
え?もしかして聞いたらいけないことだったかな…
顔に出ていたらしく、苦笑いでまた髪を撫でられた。
珀「別に気にしてないから。ゆきこが気にすることじゃない」
これ以上聞かないで。と言われたみたいで、それ以上何も言えなかった。というか、後ろからの威圧感が半端ない。
ゆ「今日の夕餉はどうしようか…珀。何がいい?」
珀「…俺が決めていいのか?高杉様や吉田様に聞いたほうが…」
ゆ「私は珀に聞いてるの!」
珀「いや…でも俺が…」
なかなか答えようとしない珀に、ゆきこは何故かぷっと吹き出した。きっと、今まで自分の意見を聞かれたことが無かったんだろう。
ゆ「ゆっくり考えていいよ。自分の好きな物を考えてね?」
珀「わ、分かった」
隣の人は何かブツブツ言いながら悩んでいるみたいだし…
何してよっかなぁ…と、キョロキョロしてると一人の少女が目にはいった。
ゆ「あれは…」
少女は浪士達に絡まれて他の人達は見ているだけで助けようとしない。
何時の時代でもこういうのはあるんだぁ…と思いながら珀の着物の裾を掴んだ。
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