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ゆ「最近は色々と物騒ですから。一人で出歩くのは危険ですよ」
後ろで伸びている浪士たちには目もくれずにこやかに飛那の相手をするゆきこ。
珀はチラリと後ろを振り返れば、稔麿達も呆れたようにその様子を見ていた。
珀「ゆ…魁斗。もう行くぞ?」
ゆ「ん?あぁ、分かった。それじゃあ飛那さん、なるべく一人で出歩かないようにして下さいね?」
ぽーっとしている飛那に手を振ってゆきこは珀と共にその場を離れた。
ゆ「珀。何がいいか決まった?」
あの場から離れると、ゆきこは何時もの話し方に戻った。切り替えの早さに驚きながらも、珀は夕餉のメニューを考えた。
珀「……煮魚」
ゆ「え?」
珀「煮魚が食べたい」
ゆ「煮魚?分かった。どの魚がいい?」
珀「何でもいい。後はゆきこの好みで作るといい」
分かった。と微笑みながらどの魚にしようかと悩み始めたゆきこに、思わず笑みが浮かんだ。
ゆきこは今まで見てきたどの女人たちとも違う。でも、違和感は無い。逆にゆきこの方が一緒に居て気が楽だ。
ゆ「とりあえず、お魚屋さんに行こう!」
無邪気に笑うゆきこを、この笑顔を守りたいと、そう思った。
晋作に言われたからもあるが、ただ自分自身がゆきこを認めた、だからこうして一緒にいる。
珀「ゆきこ。もうそろそろ仲直りしろよ」
ゆ「…はーい」
我が主が認めた少女を守っていこう。そう思った。
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