―始まった生活―

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あれから約一ヶ月半、ゆきこはずっと布団生活。骨は折れていないし、医者も暫く安静にしていれば大丈夫だと言っていたので、すぐに働けると思っていたのだが、意外と心配性の総司達に散々止められたのだ。 本当なら三日前位から働けると本人は思っていたにだが、近藤や、土方、総司達に止められた。 そして、あの時の近藤の言葉の意味は未だに良く分からないまま時が過ぎてしまった。 やっと、今日から本格的な仕事が許されたのだ。最後に帯紐を結び完成。総司達の目を盗んで菊に着付けを教えて貰っていた。準備が終わった丁度その時、襖が開いて菊が入ってきた。 「菊姉」 「準備は出来た?」 「はい」 「それじゃあ、行きましょう。くれぐれも無理だけはしないでね?」 そして、菊姉に連れられてゆきこは台所に向かった。久しぶりに身体を動かせるとゆきこはウキウキとした気分で菊の後ろを着いて行った。 「さぁ、始めましょうか!!」 「…うわぁ」 目の前には沢山の食材が並んだいた。どれも、現代にいたころでは決して見られなない量だった。こんなに使うとは予想外だ。 「これ全部ですか?」 「ええ、これが朝、昼、晩だから嫌になっちゃうわよね」 「…頑張ります」 「じゃあ早速作りましょうか!」 「はいっ!」 菊は野菜を洗ってそれを切る。ゆきこはそれを順に鍋に入れて煮込んで、ご飯を炊く。予想以上の労働にゆきこはこれが毎日続くのかと少しだけ溜め息をついたが、楽しみでもあった。そして、なんとか作り終えた。 「さっ、持っていきましょう」 菊とゆきこは台所と広間を何往復もしてやっと全部運び終えた。 .
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