―初めての喧嘩―

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稔麿が沙羅の名を呼ぶと沙羅が何かを持って降りてきた。稔麿は沙羅が持ってるモノを見てニヤリと笑った。 稔「ふふふ…沙羅。やっちゃって」 沙「…はい」 沙羅の手にあるモノ。それは化粧道具。古高はじりじりと後ろに下がって行ったが、壁に追い詰められてしまった。 「ゃ、やめ…うわあぁぁぁぁぁ」 稔「そーいえばさ、ゆきこが珀の恋人役するんでしょ?なんで沙羅じゃないわけ?晋作」 ジロリとゆきこを後ろから抱き締めながら晋作を睨み付ける稔麿。 はぁぁ…とため息を付きながら眉間にシワを寄せている姿はあの人にそっくりだ。 晋「沙羅は他の仕事があんだよ」 稔「ゆきこは新選組の奴らに顔を知られてるんだよ?」 晋「だから変装するんだよ…」 稔「でもき…」 ゆ「稔麿。私が良いって言ったの」 稔麿の言葉を遮って困ったように宥めると、稔麿は不服そうに首を縦に振った。 分かっているのだ。ゆきこの意志はそんな簡単に変えられないということを。 稔「ただし、危ないと思ったらすぐに逃げるんだよ?」 ゆ「うん。大丈夫だよ」 ぎゅーっと抱き締められているゆきこの顔は少し綻んでいた。 それを見た古高は驚いて顔を上げた。あの稔麿が自分から女人を抱き締めるなんて…しかも、あの、屁理屈大魔王の稔麿が簡単に黙るなんて…。 しかも、それを見てあの二人が極普通だという態度をとっているのも驚きだ。一体あの女人は何なんだ…と思っていながらも古高の顔はどんどん化粧が施されていく。 ゆ「あ、そうだ…。ちょ、ちょっと稔麿離して」 稔「やだ」 ゆ「…桂さん。すいませんがそこにある包みを取って貰えませんか?」 桂「ん?これか?」 ゆ「はい。ありがとうございます」 小五郎から包みを受け取って、それを開くとあの腕輪と金平糖が出て来た。その腕輪をつけてから金平糖の紐を取って一粒つかんで稔麿に渡した。 稔「ん、美味しい」 ゆ「でしょ?評判のお菓子屋さんで買ってきたの」 稔「へぇーいいね」 沙「吉田様、終わりました」 .
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