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珀が新選組に潜入して一週間。見事隊士になった、今のところバレては居ないようだ。
そして、今日は新選組に潜入した珀に情報を聞くためゆきこが珀の恋人役として会いに行く日だ。
もちろん、変装して。
ゆ「どう、かな?」
稔「まるで別人みたいだね」
晋「一瞬誰だか分からなかった」
桂「本当にゆきこか?」
それぞれ思うままに感想を口にしたが、それ程ゆきこの変わりようはすごかった。
腰まである長い鬘を顔の横に一房ずつ残して後は緩く結んで横に流し、化粧をして着物も何時もより大人っぽくしたゆきこはまるで別人だった。
ゆ「バレない?」
稔「絶対バレない。安心して行って来てね。本当なら僕も行きたいんだけど、ちょっと仕事があってね」
ゆ「大丈夫だよ。じゃあ行ってくるね」
稔「行ってらっしゃい」
何だろう…さっきから視線が気になる。私、どこか変?
いつもより美しくなったゆきこに男たちの視線は釘付けだ。
ゆ「着いた…」
本当にバレないのかな…?まぁ、バレたらバレたでその時だ。開き直ったゆきこは門番に声を掛けた。何時の声とは違う声で、この一週間稔麿にしごかれた。
ゆ「あの…」
「ん?なんだおま…」
門番の声が途中で終わった。ゆきこの余りの美しさに見惚れてしまったのだ。ゆきこはそれに気づくことなく話し掛けた。
ゆ「此処に、新しく入ってきた隊士で霧風 諷磨っていますか?」
「……」
ゆ「あ、あの…?」
「あ、い、います!呼んできます。お名前は?」
ゆ「…桜。とお伝えしてくれれば分かると思います」
分かりました!と、門番の人は走って行ってしまった。
霧風 諷磨。珀の偽名だ、桜は合図。
暫くすると、門番は珀を連れてきた。後ろから複数の隊士もいたが。
ゆ「諷磨さん」
珀「…桜!?なんでお前こんな所に…」
ゆ「諷磨さんに会いたくて…」
珀「たく…」
「霧風ーー!!お前恋人いたのかー!?」
後ろから大声を出しながら走ってきたのは三馬鹿だ。
はぁ…と、ため息をついた珀を見ると面倒くさいのが来た…という顔をしていた。
ゆ「あの…あちらの方々は?」
珀「組長だ…」
いきなり肩に手を回されて引き寄せられたと思ったら、三馬鹿が団子のように重なって倒れてきた。
ゆ「あ…あの…大丈夫ですか?」
珀「心配すんな。こんくらいじゃこの人達はどうもしない」
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