―潜入―

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ゆきこが去っていった方を見て動かない総司。 はぁぁ…と、珀は内心ため息をついた。きっと、無意識で気付いてんだろうな…。あんな寂しそうな目を見てれば、総司がゆきこを想ってることなんて一目瞭然だ。 珀「…どうするかな」 さっき肩を引き寄せた時に入れた紙を見て我が主はどういう反応をみせるか…。 そして、自分の着物の袷に入っていた小さく折りたたまれた紙にはなんて書いてあるのやら…。 新「おい、霧風!!お前あんな別嬪さんが恋人だなんて聞いてねぇぞ!?」 珀「言ってませんからね」 新「なんだとぉ!?ったく、可愛げのない奴だ」 珀「男に可愛げがあったら逆に気持ち悪いですね。あ、組長はそっちの人ですか?なら納得します。 個人の自由ですから。えぇ、軽蔑なんかしませんよ」 そう言いながら新八から離れていく珀に肩をぷるぷる震わせて耐えている新八。 耐えろ俺。耐えるんだ。あぁ…ゴメンよ土方さん。今まであんたはこんな風に思ってたんだな… 左之「あ、霧風。どこ行くんだよ」 珀「どこって…中に戻るんですよ。もう要件も済みましたし」 スタスタと中に入ろうとしている珀の肩を左之と平助が掴んだ。 あぁ…また面倒事に巻き込まれる。忍としての感ではなく、人間としての感が警報を鳴らしていた。 左之「まぁ、待て諷ちゃん」 珀「誰が諷ちゃんです。近所にいる野良猫じゃないんですよ?全国の野良猫に土下座して謝って下さい」 左之「…こんな生意気な野良猫がいるか」 珀「居たら奇跡ですよ」 コイツ…。我慢しろ俺…。大人としての対応をだな… 珀「ふぅ…離して下さい子犬組長。あ、じゃなかった、組長」 平「今、思いっきり間違えたよね!?なんだよ子犬って!!」 珀「いや、つい本音が…じゃなかった。組長の聞き間違えじゃないですか?」 平「今思いっきり本音っていったよねぇぇぇ!?」 あぁ…なんでこんなに元気なんだ。 でも、そんなに嫌な雰囲気じゃない。こんなに賑やかだとは思って無かったけど。 .
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