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あれから七日。ゆきこは大体、二日に一度会いにきた。
そして、やっと探していた情報を手にした珀は気を抜いていたのかもしれない。
よし…これで帰れる。やっと探し求めていた情報を手に入れた。それを紙に書いて、小さく折りたたんだ。
後は今日、来るはずのゆきこに渡せば自分の任務は終了する。
本当に、気を抜いていた。
だから、後ろに迫っていた気配に気が付かなかった。
いきなり口に布を押し当てられた。だが、忍として毒に耐性をつけていた珀にはそれが効かなかったが、首に手刀を入れられて意識が遠のいていく…。
せめて…これだけでも。と、最後の力を振り絞って紙を掴んだが、ポロリと落ちてしまった。
すいません…我が主。
最後にポロリと落ちた紙が見えた。
今日もゆきこは変装して新選組に来ていた。
ゆ「あの…諷磨さんは?」
何時ものように訪ねたが、何時もの温かい笑顔ではなく、刀を突きつけられた。
ゆ「え?」
「あなたを捕らえろとのことです。抵抗すれば斬ります。どうかっ!?」
門番の言葉の途中でゆきこは変装をとった。鬘をとって着物も脱いだ。着物を脱いだゆきこは忍装束を着ていた。
そして、目の前からゆきこが消えた。
すると、ふわっと風が頬を撫でた。それと同時に首に衝撃がきて意識がなくなった。
…バレちゃったか。
屯所の屋根を走っているゆきこは、珀が居るであろう牢屋に向かった。
実はゆきこ。空いている日には珀や沙羅、稔麿達から忍としての動きやクナイの使い方など、色々教えてもらっていた、走りながら髪を一つに結い牢屋に向かう。
晋兄の言う通りだった。助けないと、大切な仲間だから。
ゆきこは無意識に、腰にさしている桜舞を握っていた。
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