―潜入―

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賑やかな話し声が聞こえて目が覚めた。 ゆっくりとまばたきをして辺りを見回した。此処は…? ゆ「ぁれ…?」 以「お、お嬢ちゃん大丈夫か?」 どうやら宿屋に戻ってきていたらしい。 布団に寝かされていて、傷は丁寧に手当てされて、浴衣を着ていた。 岡「おい、お前ら。お嬢ちゃんが起きちまったじゃねぇか」 すると、今後は稔麿、晋作、小五郎が視界に写った。 ゆっくりと腕をついて上体だけ起き上がると、稔麿にギュッと抱き締められた。 稔「なんでそんな無茶したのさ…」 ゆ「…ごめんなさい」 稔「確かに情報も欲しかったけど、ゆきこが命を犠牲にしてまでやることじゃないんだよ」 ゆ「…だって、」 稔麿の顔を見て言うのをやめた。どれだけ心配されたのか分かってしまったから。 ゆ「……心配してくれてありがとう。私は大丈夫だよ」 稔「本当に…無事で良かった…」 本当に安心した。という表情をしている稔麿を見て、思わず笑みがこぼれた。 ゆ「ふふ…晋兄も桂さんも、以蔵さんも本当にありがとうございます」 晋「以蔵。ありがとうな」 岡「いや、お陰様でいいもん見せてもらったよ」 え?確か以蔵さんが来たのは私が倒れてから来たんだよね? でも、いいもん見せてもらったって…。 まさか…最初から見てた? ゆ「以蔵さん…。まさか見てました?最初から」 岡「…あ、いや、別に…」 桂「まさか…お前…」 岡「いやぁ…女人にしては良い腕してんなお嬢ちゃんは…悪かったよ」 ばつが悪そうに視線を逸らした以蔵にゆきこは苦笑いだ。 でも、以外と怪我してたんだ…まぁ、切り傷ばっかりだけど。 女として、それはどうなんだろ? 稔「大丈夫なのゆきこ?以蔵が怖くないの?」 ゆ「んー…なんか大丈夫なんだよね」 ゆきこを後ろから抱き締めながら不思議そうに聞いてくる稔麿に、ゆきこは身体の力を抜いて稔麿に寄りかかった。 岡「なんなんだ?お嬢ちゃんは男が怖いのか?」 ゆ「ちょっと色々あって…あ、以蔵さんは大丈夫ですよ?」 岡「そうか、まぁでもお嬢ちゃんは女なんだからあんま無理すんなよ?」 ゆ「…はい」 .
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