―始まった生活―

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足音が聞こえ、急いで玄関に向かってみると、総司を含めた隊士達が帰ってきていた。 「お帰りなさい」 「只今帰りました」 ゆきこは総司から土埃で汚れた羽織りを受け取って、来る途中で用意した新しい羽織りを渡した。 「そういえば、今日はゆきこさんの初仕事でしたね」 「はい」 「楽しみですね」 「あんまり期待しないで下さいね」 総司と隊士達と一緒に広間に向かった。途中でゆきこは羽織を部屋に置いてから広間に向かった。 「……」 「……美味しいですよ」 「良かったぁ…」 総司の隣で、総司がゆきこの作った料理が口に運ばれるのをゆきこはジッと見つめていた。美味しいと言ってくれた瞬間、身体から力が抜けた。 「あ…今日私、夜の見回りなんです」 「またですか?…了解しました」 夜は暗いし、最近物騒って言う。だが、それを取り締まるのが新選組だから、仕方ないのかもしれないけど…やはり、心配になってしまう。その時、頭にポンと慣れた手が乗せられた。 「大丈夫ですよ。たまたま今日は私が代わることになっただけですから」 「…分かっているんですけど、やっぱり心配で…」 「大丈夫です。私に勝てる人なんてそうそう居ませんから」 「そうです、よね」 そして、総司が見回りに行った。どうか怪我をしないでほしいという気持ちを抱きながら総司達を見送った。 そんな気持ちを表すかのように、京の空は暗く雨が降り出しそうなほど、どんよりと曇っていた。 .
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