―池田屋事件―

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その日の夜は、久しぶりに全員揃って夕食を食べた。 桂「いやぁ…久しぶりに皆で飯を食べるなぁ」 ゆ「そうですね。最近は皆さん忙しそうでしたから。今日、一緒に食べれて嬉しいです」 本当に嬉しそうに微笑んでいるゆきこに、全員がその微笑みに癒やされた。 稔「ゆきこ、明日は暇?」 ゆ「ん?うん」 稔「晋作、小五郎、以蔵は?」 稔麿は全員に聞くと、持っていた箸を置いて、ニッコリと笑って一つ提案を持ち出した。 稔「明日さ、折角だから全員でお弁当持って良い場所に行かない?とっておきの場所を見つけたんだ」 その提案に、全員が賛成した。じゃあ…とお弁当は私が持って行くね。と、ゆきこが笑った。 稔「お願いね」 ゆ「任せて!とびきり良いお弁当を作ってみせるから」 そして、次の日。四人は稔麿が見つけたという野原に来ていた。大きな木があり丁度いいくらいの日陰がある。その木の下にお弁当を広げた。 晋「やっぱ、ゆきこの作る飯は美味いな」 岡「この卵焼きの味付け、本当にいいな」 ゆ「褒めすぎです…」 でも、こんなに喜んでくれるなら、朝早くから作ったかいがある。 ゆ「ふぁ~」 身体を包むようにふく風、丁度よくあたる日差し、そして朝早くに起きたことで、眠くなる条件が揃っていた。 稔「ゆきこ、眠いの?」 ゆ「ん…ちょっとね。大丈夫」 目をこすりながらおにぎりを食べるゆきこを見て、まぁ食べ終わったら寝かせるか。と、思い直して漬け物に手を伸ばした。 相変わらず自分好みの味付けだなぁ…と思いながら、他の物もパクパクと食いすすめる。 桂「ふぅ…食べた食べた」 岡「あぁ。眠くなる」 晋「ちと、昼寝でもするか?」 稔「賛成」 どうせこのメンバーだったら襲われても絶対に返り討ちする自信がある。というか確信。全員それを知っているから、分かっているから賛成出来る。 ゆ「んー…気持ちい」 木に寄りかかりながら空を眺めるゆきこの隣には稔麿、二人はお互いに寄りかかるように寄り添っていた。 晋作は、稔麿がいる方とは反対側のゆきこの隣に、小五郎はその隣、以蔵はその隣。全員で大木に寄りかかるように眠っていた。 こんな幸せが、いつまでも、いつまでも続けば良いのに…。お願い、一人にしないで…。 .
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