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広間に移動したゆきこ達は、席につき朝餉を食べ始めた。菊の手伝いに行ったゆきこを眺めながら、新八はポツリと呟いた。
「やっぱり…ゆきこちゃん、可愛いよな」
「だよなぁ…新撰組の花だな」
そんな会話を聴いてしまった総司は、内心モヤモヤとした感情が渦巻くのを感じ、訳が分からず首を傾げた。
「沖田さん。おかわりいかがですか?」
「…っあ、はい。いただきます」
気が付くと、いつの間にか目の前にゆきこがいた。無理やり笑顔を貼り付けると、ゆきこは不思議そうに首を傾げた。
「…どうされたんですか?」
「え?何がですか?」
「いえ。その、いつもと違う気がして…」
自信なさげに紡がれた言葉に、総司は目を見開いた。ゆきこは、総司のほんの少しの変化にも気付いてしまうようになっていた。
「何でもありませんよ。おかわり、いただけますか?」
「はい」
今度は何時も通りの笑みを浮かべた総司にゆきこも安心したように頷き、差し出されたお茶碗を受け取った。
「あーっ!!ゆきこちゃん俺にもくれよ!!」
「俺も!!」
そんな光景を見ていた新八と平助はズイッとゆきこにお茶碗を差し出した。すると、次々とお茶碗が差し出された。
「ほぇ?」
「「「おかわりっ!!」」」
目をパチクリとさせ次いでゆきこは微笑んだ。此処に来れて、心から幸せだと言える。
こんな、幸せな日々がこれからも続くと、疑いもせず信じていた。
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