―始まった生活―

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「ゆきこ、休みをあげるから明日は町に行ってみたらどうだ?」 隊士達が朝餉を食べ終え、その後片付けをしている時に近藤が思いついたようにゆきこに言った言葉に、目を見開いた。 「町…ですか?」 「ああ。ゆきこは町に行ったことないだろう?良い機会だ。行って来なさい」 「ありがとうございます」 近藤はたこで固くなった手でゆきこの頭を撫でた。総司に撫でて貰うのも嬉しいが、近藤に撫でて貰うのも落ち着くと、目を細めた。 「あ、なら私明日は丁度非番なので一緒に行きませんか?」 「でも、せっかくのお休みなのに…」 「いいんですよ。どうせ暇ですから」 「それなら…お願いします」 「はい」 ゆきこは嬉しそうに微笑み総司に頭を下げた。近藤は、総司の頭にポンと手を置くと、グシャグシャと撫でた。 「総司。しっかりゆきこを守るんだぞ」 「はい。もちろんですよ」 満足そうに近藤は立ち上がって部屋から出て行った。二人はに穏やかな雰囲気を醸し出しながら、明日の計画を立てていた。 「どこに行きますか?」 「私は何もわからないので総司さんにお任せします」 「はは。了解です」 「総ぉぉぉ司ぃぃぃ」 響いてきた土方の怒鳴り声に、二人は黙り込んだ。何と言えばいいか判らないゆきこは、目を逸らした。 「あの人って本当に空気読めませんね…」 「あはは…行ってあげて下さい」 「総ぉぉ司ぃぃぃちょっと来いやぁぁぁ」 「…お気をつけて」 総司はただにっこりと笑って部屋から出て行った。その後ろ姿を見送り、ゆきこは片付けを再開した。 .
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