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ある中学校の道場からは、竹刀のぶつかり合う音や声が外まで聞こえてくる。
「もっと声出して!!そこ!足を動かす!!」
もうすぐ引退の時期になるということもあって練習はいつも以上にキツくなっている。
「ゆきこ」
「みき」
ゆきこと呼ばれた少女はこの中学校の三年生。剣道部の部長である。
ゆきこは全国でも通用する実力を持っている。
みきは、剣道部の副部長。みきもゆきこと同じように全国でも通用する実力を持っている。
「どうしたの?」
ゆきこの問いにみきは苦笑いしながら時計を指差した。
「夢中になるのはいいけど、もうそろそろ下校時間過ぎちゃうから」
「あ…」
ゆきこは時計を見上げて苦笑いした。そして練習している後輩達に声を掛けた。
「やめっ!!集合!!」
「「「はいっ!!」」」
ゆきこが声を掛けると、後輩達がゆきこの前に整列した。
「今日の練習は此処までにします。えー…時間がないんですが…
地区大会まで三ヶ月を切りました。気合い入れていきましょう!!」
「「「はいっ!!」」」
「んぅ~…疲れたぁ…」
ゆきこは腕を伸ばしながら呟いた。みきはゆきこの隣で笑った。
「…後ちょっとだねぇ…」
「うん!頑張ろうね!」
二人は顔を見合わせて微笑んだ。
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