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「会いたかったですっ…」
「私もですよ…おかえりなさい」
力強くゆきこを抱き締め、総司はその温もりを感じた。いきなり消えてしまったゆきこを探したが、どこにもいなかった。
探して探して探した。夜も非番の日もいつも。だが、どこを探しても、誰に訊いても、まるでこの時代から消えてしまったように、見つからなかった。
「もう、会えないかと思っていました…」
「どうして突然いなくなってしまったんですか?それに、先程の…」
「ちゃんと、全部話します…」
全部話して、認めてもらいたい。認めてもらえるかは判らない。拒絶されるかもしれない。それでも、話さなければ前に進めない。
「わかりました。とりあえず、屯所に帰りましょう。皆さんあなたの帰りをずっと待っていたんですよ」
「はい…」
二人は手を繋ぎ、屯所に戻った。
「ゆきこーーー!!」
「きゃっ!!」
屯所に戻り、夕飯時だった広間の襖を開けると、一瞬静まりかえり、組長達によって、ゆきこは総司の部屋に連行された。その間僅か五秒の出来事だった。
「心配したんだぞーー!!」
「ご、ごめんなさい…」
ゆきこを抱き締めるのは新八と平助、左之だ。ゆきこは戸惑いながらも心なしか嬉しそうだ。そんな三人をべりッと引き剥がし、山南と一、近藤に土方と菊が取り囲んだ。
「本当に、本当に心配したのよ」
「はい…」
「いやぁ、本当に良かったぁ…」
優しい笑みを浮かべ、ゆきこを受け入れてくれる皆に泣きそうになった。
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