―病の名は―

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心なしか、雪斗の顔色も悪い気がする。無理を続けているのだが、雪斗のその無理が、今は必要なのだ。 だが、もうそろそろ無理やりにでも休まさなければ、倒れるだろう。誰かが雪斗を止めなければ、雪斗は身体を酷使し続けるだろう。 「雪斗、前の休みはいつですか?」 「え…?えと、確か…」 すぐに思い出せないということは、それほど休んでないのだろう。小さく溜め息をつき、総司は頬にあてられている暖かな手の上から、自らの手を重ねた。 「前に言ったでしょう?少しは休めと」 「はい…でも、私よりも皆さんの方が、疲れていらっしゃるのに、私が休むわけには…」 「あなたが倒れたら誰が困るかは、あなたが一番よくわかっているはずですが?」 雪斗が求めているのは、地位でも金でもない。新撰組の皆と共に少しでも長く過ごせること。 「…ずっと、この時代にいたいです…」 「雪斗?」 いつかは、戻らなければいけない。元々、生きていた時代が違うのだ。この時代に飛ばされた意味。何回も何百回も考えた。だが、答えは見つからなかった。 「私がもし、またいきなり居なくなったとしても…私は、何度でもあなたを思い出せると思うんです」 何度忘れたとしても、きっと何度でも思い出せる。そんな確信がある。雪斗の言葉に、総司も頷いた。いるべきではないのかもしれない。もしかしたら自分がいるせいで、悪いことが起きてしまうかもしれない。 「私もですよ」 「でも、約束は守って下さいね?」 「…判っていますよ」 あの日約束したことを破るつもりはない。目を閉じると、総司の温もりをより感じることが出来た。 「あ、私まだ診察受けてないっ!!」 突然顔を上げた雪斗に、総司は思わず手を離してしまった。我に返り、雪斗は苦笑いを零した。 「そうでしたね。雪斗、行きましょう」 雪斗を離した総司は、一度髪を撫でた。猫のように目を細めた雪斗と総司は歩き始めた。 .
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