―出逢い―

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「あれぇ?土方さん空が光ってますよ?」 「ああ。行くぞ総司」 「はーい」 着物を着て、腰に刀を差した二人は、光が降りてくる場所に向かった。 二人が光の下まで来ると、中から血だらけでぼろぼろになったゆきこが現れた。 総司はそっとゆきこに近寄り、容態を確認する。土方はジッと、ゆきこを見つめた。 「土方さん。とりあえず屯所に連れ帰りましょう」 「容態は?」 「決していいとは言えません。かなり危ない状態です」 「そうか…」 ゆきこの傷の具合を確認しながら総司はどうしたらこんな傷が出来るのか首を傾げた。 「連れ帰ってもいいですか?」 「このまま、放って置くわけにはいかねぇだろ…」 「分かりました」 総司はそっとゆきこを抱きかかえて、なるべく傷に影響のないように、屯所に戻った。 一つだけ気になったのは、ゆきこがこれだけの傷を負いながら、どこの骨も折れていなかったことだった。 此処は京の町。 刀をさし、自らの信じるモノ、大切な者のために戦う武士がいる所。 いつ死ぬかも分からないかの時代に、ゆきこはやってきた。 悲しみ 憎しみ 裏切り 悔しみ 憎悪 妬み 嘲り 全ての感情が交差するこの時代で必死に生きた侍がいた。 侍達の名は新選組。 人斬り集団として恐れられながらも京を守ろうとした武士。 そして、この時代で生きていくと決めた少女がいる。 何度も傷ついて、泣いて、何度も立ち止まった。だが、それでも新選組と共に居続けた。 これは、 蝶のように生き、桜のように散った少女と自らの信じた信念のために必死に動乱の世を生き抜く武士達の物語。 .
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