―温もり―

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ゆきこはゆっくり湯殿に入って、菊に御礼を言って部屋に戻った。 部屋に戻る途中、何人もの隊士達とすれ違い、その度に驚かれたが、輝くほどの笑顔で、受け入れてくれた。 部屋に戻ると、総司が何かを書いていた。総司はゆきこが入ってきたのに気づくと筆を置いた。 「私も入ってきますね。ゆっくり入れましたか?」 「はい。とても!」 「それは良かったです」 隣に置いてあった寝間着を掴むと総司は立ち上がって、ゆきこの髪を一撫でしてから部屋を出て行った。とりあえずゆきこは座って、手拭いで髪を拭くことにした。 暫くすると、総司は長い髪を拭きながら戻ってきた。 「沖田さん。お帰りなさい」 「はい」 ゆきこは立ち上がっろうとした。が…着物の裾に足を引っ掛けて、前のめりに倒れた。ぶつかると、目を閉じたときトンと受け止められた。 顔を上げると、総司の困ったような表情が目に入った。風呂上りのせいだろうか、いつもより熱い気がした。 「大丈夫ですか?」 「…はい。ありがとうございます。沖田さん」 いつも通り名を呼ぶと、総司は少し拗ねたような顔をした。ゆきこが首を捻っていると、総司はゆきこを布団に座らせた。 「ゆきこさん。ずっと言おうと思っていたんですが…」 「なんでしょうか?」 まさか、自分は知らぬ間に何かしでかしたのだろうか。総司の真剣な表情に、ゆきこは少しだけ不安になった。 .
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