―温もり―

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「もうそろそろ、総司と呼んでくれませんか?」 目を瞬き、頭の中で何度か総司の言葉を反復させ、ゆきこは顔を赤くした。 「…え?あの、それは…」 「総司と呼んで下さい。私もゆきこと呼びますから。駄目、ですか?」 総司に真っすぐ見つめられてゆきこは、目を逸らしたが、意を決し総司の目を見た。 「…総司、さん…」 ゆきこが小さな声で総司の名を呼ぶと、それに満足したように微笑んだ。 「よく出来ました」 そう言って総司はゆきこの頭を撫でた。クシャクシャと、久しぶりの感触に、総司はホッと息をついた。 「沖田さん…私で遊んでいますか?」 「遊んでなんかいませんよ。それより沖田じゃなくて総司って呼んで下さい」 「うっ…総司さん…」 恥ずかしくなったゆきこは総司から顔を背けた。総司はそれを見て吹き出した。 「ぶっ!!あはははは」 「総司さんっ!!」 「いや…反応が一々可愛いなぁ…と思って」 ゆきこは赤くなった顔を更に赤くした。もうこれ以上赤くならないんじゃなぁ…と総司は笑いながら思っていた。 「総司さん…絶対からかっていますね」 「はい」 「………」 総司の即答にゆきこは少しどういう反応すればいいのか迷った。結果、この人には絶対適わないと思ったので無言で布団に入った。 「拗ねないでくださいよ。…それでは、もう寝ますか?」 「…はい」 ゆきこは小さな声で同意すると、総司に背中を向けたまま布団に横になった。総司はそれを少し意外そうに見てからゆきこの頭の横に手をおいて耳元で、おやすみと囁き布団に入った。 暫くして、総司の寝息が聴こえてきた。だが、寂しくなったゆきこは、そっと後ろを振り返り、ゆきこに背を向けて眠る総司の背を見つめた。 「おやすみ、なさい…」 返事はないと分かっていたので、ゆきこは眠ろうと目を閉じた。 「おやすみなさい」 「っ!!…おやすみなさい」 総司の気遣いに、ゆきこは顔を綻ばせ、安心して眠りについた。 .
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