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あれから一週間後、ゆきこは少しずつ陽向屋での生活に慣れていった。
今日は空と二人でお店の買い出しだった。普段なら菖蒲がいくが、今日は用事があるため二人でいくことになったのだった。
だが、
空「うわぁ~あの簪可愛い~
見てみて!あのお団子美味しそ~!
あっあの着物いいなぁ~」
ゆ「……」
なんか、今まで菖蒲さんが空を買い出しに行かせない理由が分かったかも…
ゆ「はぁ…空。私買い物するからちょっと待っててね?」
空「うん。あぁ~!あの簪もいいなぁ~」
聞いているか分からなかったが、ゆきこは八百屋で買い物を始めた。
新選組の女中として買い出しは何度も行っているため菊に教えて貰った、安くて良いものを沢山買える話術と技術を活用する。
真剣に店主と交渉していると、近くで聞き慣れた声の悲鳴が聞こえた。振り返ると近くに人の和が出来ていた。
ゆきこは今まで買ったものを置いて、人が集まっている所まで走っていった。
空「だーかーらー!この子は謝ってるじゃない!」
「てめぇいい加減にしろよ!?」
人の和が集まっていた中心は二人の少女が浪士五人と口論していたからだった。
話しを聞くと、どうやら少女が浪士の一人とぶつかってしまったらしい。そこを空が助けたという所だろう。
「いい加減にしろよ小娘!」
ついに浪士の一人がキレて刀を空に振り下ろした。誰もが空が斬られること想像して顔を背けた。
空も斬られることを覚悟して目をぎゅっと瞑った。
だが、何時までたっても痛みは襲ってこない。空が恐る恐る目を開けた。
目の前には見慣れた背中が刀を受け止めていた。
空「ゆきこ…?」
ゆ「全く…」
ゆきこは刀を弾き返すと空の後ろにいる少女を見た。
ゆ「早く逃げなさい」
そう言うと少女は、頭を下げて去っていった。その時、
空「ゆきこ!?後ろ!」
ゆきこの後ろには浪士が刀を振り下ろそうとしていた。空はそれに気づき叫んだ、ゆきこは振り下ろされた刀を片手で止めた。
ゆきこは横目で浪士を睨み付けた。
ゆ「後ろからは卑怯ですよ?」
ゆきこは刀を弾き返してから刀の柄頭で浪士の腹を殴った。殴られた浪士は吹っ飛んだ。
ゆ「はぁ…掛かってきなさい」
そう言うと浪士達が全員、襲い掛かってきた。ゆきこはそれを一人一人相手にして腹や腕を殴っていく。だが…
空「きゃッ!」
ゆ「空ッ!」
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