―陽向屋―

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空が浪士の一人に斬られそうになっていた。ゆきこは相手にしていた浪士をぶっ飛ばすと空に手を伸ばした。 嫌だ…もう、大切な人が傷つくのは嫌なの… 空は斬られる恐怖によって体が動かなかった。振り下ろされる刀に目をぎゅっと閉じると思いっきり突き飛ばされた。 驚いて目を開くとさっきまで自分がいた場所にはゆきこがいた、ゆきこは刀を弾き返そうとしたが、間に合わずゆきこの脇腹に刀が突き刺さった。 空「ゆきこッ!!」 空はゆきこに駆け寄った。浪士はゆきこの腹から刀を抜くと去っていった。 ゆきこに近寄った。ゆきこの脇腹からは血がとめどなく溢れ出してゆきこの着物を染めていく。 空「ゆきこッ!!ゆきこ!」 どうしよう…私のせいだ…私があんなことしたから… 周りからは医者を呼べとか、ざわめきが聞こえてくる。 誰でもいい…ゆきこを助けて… 空は手拭いを取り出してゆきこの傷口に押し付けた。必死に押さえて血を止めようとするがどんどん血が溢れ出る。 ゆ「そ、ら…」 空「ゆきこ!」 ゆ「ゲホッ!!」 脇腹からは血がとめどなくなく流れているのが分かる。空は泣きながら血を止めようと頑張っている。と、その時、複数の足音が聞こえてきた。 「ゆきこ!!」 久しぶりに総司の声が聞こえた気がした。確認したいのに体に力が入らなかった。 でも、大好きだった匂いと温もりに包まれた時、涙が溢れた。 その人の着物をすがりつくように力を振り絞って握った。 「ゆきこ…あなたは絶対助けますよ」 その言葉に確信は無い筈なのに、何故か安心出来た。ただ、その人の顔を確認したいのに目が開けられなかった。 それでも、必死に目を開けるとやはり総司がゆきこを抱きかかえていた。 ゆ「そ…うじ…さん…」 声を振り絞って言うと総司は安心させるように微笑んだ。その微笑みを見たときゆきこの涙はさらに溢れた。 そして、空を見つめた。空は泣きながら謝っていた。ゆきこはそっと手を伸ばして空ね髪を撫でた。 ゆ「大、丈夫だよ…?」 空「ウッ…ごめんねぇ…」 ゆ「大、丈夫…だ、から…」 そう言ってゆきこは意識を失った。 .
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