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土方は総司の腕を掴んだまま人気のない道まで歩いてきた。土方は無言で総司の腕を放した。
総「なんなんですか?いきなり連れ出して…」
歳「なんなんですか?…じゃねぇよ。そんな情けない顔しやがって…」
その言葉に総司は自分の顔を片手で隠した。土方は腕を組んで壁に寄りかかった。
総「…んな…ことの…ために……じゃない」
総司はその場に座り込んで拳を床に叩きつけた。土方はそんな総司の痛々しい姿を見ていることしか出来なかった。
総「あんな怪我をさせる為にゆきこを新選組から出したわけじゃない…!!」
ゆきこを陽向屋に預けた時から後悔していなかった筈なのに…
でも、もし自分が一緒にいたらこんなことになること起こらなかったのに…
と、思わずにはいられない。
ゆきこが、血を流して倒れているのを見たとき本当に心臓が止まるかと思った。
その瞬間、よく浪士達を殺さなかったか自分でも分からないが、その時はゆきこの安否が最優先だった。ゆきこの声を聞いた瞬間、体の力が少し抜けた気がした。
歳「総司。てめぇ後悔してんのか?」
総「……少しだけ」
その言葉に土方はツカツカと総司に近寄って、思いっきり頭に拳骨を落とした。
総司は本気で頭の形が変形したんじゃないかと思った。
総「~~~!!痛いですね!!何てことすんですか!?」
歳「うっせぇ!!てめぇ…お前が決めたくせにお前が後悔してんじゃねぇよ!?」
土方は総司の胸倉を掴んでグイッと引っ張った。総司はその言葉にムッ…と、表情を曇らせた。
総「分かってますよ!!」
歳「だったら実行しやがれ!!」
総「なんなんですかあんたは!?優しいのか厳しいのか、はっきりして下さいよ!?」
歳「関係ねぇだろうが!!腹黒!!」
二人が言い争っていると、後ろからゴホンッ!…と、咳払いが聞こえた。総司はその人を見ると、土方の胸倉を掴んでいた手を離して医者に詰め寄った。
総「ゆきこは!?ゆきこはどうなんですか!?」
「急所は外れていましたから、なんとか一命は取りとめました。ですが、何があるか分かりませんのでくれぐれも安静にして下さい」
総「はい。ありがとうございます!!」
総司は医者に頭を下げてから、ゆきこのいる部屋に走って行った。
土方はため息をついてから微笑んで医者に礼を言ってから近藤達に伝えるべく部屋に戻った。
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