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総「では、くれぐれも気をつけて下さいね?」
総司はとりあえず、洗濯することだけはなんとか了承してくれた。
断ったが、何から何まで準備してくれた。ゆきこは、腕捲りしてツン…と鼻をつく匂いを放っているモノを洗い始めた。
全て洗い終えて、ゆきこはどうしようかと首を捻った。何時もなら普通に干すところだが、今はまだ傷が完全に治っていない状況で、普段通りに干せるわけない…
ゆっくりなら平気かな…?
ゆ「よしっ!」
「何が、よしっ!何ですか?」
よしっ!の部分だけゆきこの声真似した聞き慣れた声を聞いたゆきこは、先程のようには振り返れなかった。というか振り返っていいわけがなかった。
さっきより怒ってるーー!?
総「ゆきこ?…私、あれほどいいましたよね?無理しないで下さい。と、」
ゆ「い、言いました」
干し竿、今すぐ足が生えて逃げて下さい!!そうすれば、私は追い掛けて逃げられる!!
ゆきこはそんな現実逃避をして意識を飛ばした。
総「ゆきこ。こちらを向きなさい」
総司はゆきこの肩をポンと叩いた。ゆきこの口から半分出掛けていた魂がしゅるしゅると戻っていく。
ゆ「…ごめんなさい…」
総「よく出来ました」
素直に頭を下げると、総司はゆきこの頭にポンと手を置いた。ゆきこは、大丈夫だと思い、頭を上げると…
その表情を見たとき、よく声を出さなかったとゆきこは自分を誉めたかった。でも、自分の表情が引きつっていたのが分かった。
総「さて…やっぱり、あなたにはまだ早かったみたいですね」
ゆ「…え?」
総司は先程と同じように傷に影響がないようにゆきこを抱きかかえた。ゆきこは先程と同じ状況に頭を必死に回転させた。
ゆ「まっまだ干し終わってないですから!!」
総「……」
自分でも、呆れるような言い訳だった。総司の少し呆れたような視線に、穴があったら入りたいと切に願った。
総「…そうですね」
え?とゆきこは意外そうに総司を見つめた。総司はゆきこをそっと地面に降ろした。
総「さっさと終わらせましょう」
ゆ「はい!」
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