―陽向屋―

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二人で話していると、後ろから気配がして同時に振り返った。その人物は近藤だった。 同時に振り返った二人に、近藤は苦笑いで近寄った。 近「二人共、凄いな…」 総「近藤さん。どうしたんですか?」 そう言うと、近藤は懐から小さな袋を二つ取り出した。総司はゆきこを降ろした。近藤は一つずつゆきこと総司に渡した。 近「二人にあげよう。金平糖だ」 ゆ・総「金平糖!?」 甘い物が大好きな二人にとって、金平糖は大好きな物だった。だが、あまり手頃な値段ではないため簡単に買えるような代物ではなかった。 ゆ「いいんですか?高かったんじゃ…」 近「いや、貰い物だからな。せっかくだから二人にやろうと思ってな」 総「ありがとうございます」 二人は嬉しそうに笑って、頭を下げた。近藤はその姿に目を細めて笑った。そのまま手を伸ばして二人の髪をくしゃくしゃと撫でた。 その心地よい空間に二人は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに笑った。 近「あ、そうだ。さっきトシがふらふらしながら歩いていたんだが、何か知らないか?」 その言葉に、ゆきこはビクリと肩を震わせた。近藤はそれに気づかないで二人の髪から手を離した。 近「理由を聞いても答えてくれなくてな、知らないか?新八達も姿を見かけないし…」 ゆ「あっあの、それッ…!?」 ゆきこが本当の事を言おうとした時、総司に口を塞がれた。目だけで総司を見ると口パクで、静かにと、言った。 総「さぁ…知りませんねぇ…」 近「そうか。じゃあ儂はこれで」 そう言って、近藤は去っていった。近藤の姿が見えなくなった所で総司はゆきこの口から手を離した。 ゆ「総司さん!なんで本当の事を言わなかったんですか?」 総「面白いからです」 ゆ「……」 .
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