1416人が本棚に入れています
本棚に追加
ゆ「そうですか…」
総「さて…せっかくですから、金平糖食べますか?」
ゆ「はい」
二人は縁側に腰掛けて近藤から貰った金平糖を食べ始めた。心地よい空間、ゆきこは金平糖をしまって膝の上で手を重ね、顔を伏せた。
ゆ「…総司さん」
総「なんですか?」
ゆ「もうすぐ傷も癒えます。明日、陽向屋に戻ります」
伏せていた顔を上げると、総司と目があった。総司の手がゆきこの頬にそっとあてられた。
総「…分かりました」
頬にあてられた暖かい手。この時代に来たときからずっと、守ってくれて、慰めて貰った。ゆきこは自分の手を総司の手に重ね、猫のように総司の手に甘えるように頬を寄せた。
総司はもう片方の手をゆきこの背中に回して自分にもたれかからせた。総司はゆきこの頬から手を離してゆきこの髪を撫でた。ゆきこは総司にもたれかかりながら目を閉じた。
さっき近藤に撫でられた髪はぐちゃぐちゃになっていた。それをそっと総司がとかしていく。
優しく甘い、でもキツすぎないほのかな香りが鼻を掠めた。
自分の腕に収まっている少女の髪は柔らかく、風が吹く度に甘い香りが鼻を掠める。柔らかいゆきこの髪はとてもさわり心地が良い。
少女の細い体は強く抱き締めたら折れてしまうんじゃないかと思うほど華奢だった。
総「ゆきこ…」
ゆ「は、い」
少し眠たそうにゆきこは顔を上げて総司を見つめた。
だが、コテンと顔を前にして総司の片口に顔を乗せた。
総「あまり…心配を掛けさせないで下さいよ…」
ゆ「…が、んばり…ま、す…」
そう言って、ゆきこは総司の背中に手を回して抱きついた。総司はその行動に驚いたが、すぐに総司も抱き締めた。
総「大丈夫ですよ…」
そう呟くと、ゆきこは安心したように微笑んで顔をうずめ、眠りについたのだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!