一章:出会いは突然に!

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店はカウンター席と、あとは丸テーブルに椅子が四つある席がいくつかあった。 俺はカウンター席について一番安い物を注文する。 ………金がねぇんだよ。 少し待つと、優しそうなおばちゃんが料理を持って来た。 「はい、おまちどう様」 目の前にはおいしそうな料理が並べられる。 腹が減っていたのですぐに食べ終わってしまった。 「食べるの早いねぇ…」 顔を上げるとそこには、さっきのおばちゃんがニコニコしながら立っていた。 「あぁ、かなり旨かったからな」 「おや、そいつはうれしいねぇ」 この人はとても笑顔が似合う人だった。 さぞ昔はモテただろうに… そんなことを思っていると、またおばちゃんが話しかけて来た。 「お兄さん、ここらへんじゃ見ない顔だけど、旅の人かい?」 「ん、まぁそうなるのかな…。 ある人を探しててね」 「ある人…?」 「あぁ、“火”の発能者を探しに…ね。 ここらへんにいるって聞いてるんだが、知らないか?」 発能者とは、ある特定のことに力を発揮したりする人達のことだ。 例えば、一度聞けばその音を自由に声に出せるようになったり、誰にも負けないくらいの怪力が使えるようになったり、レアな能力になると、獣等に変化出来るようになったりする者もいる。 能力が発症するのに年齢は関係なく、産まれたばかりの赤ん坊から、もうすぐ死ぬっていう爺さんまで幅広く、 いつ発症するかわからない。 ちなみに同じ能力の人はいない。 たまに双子などが同じ能力を発症した、ということを聞いたことがあるが、あくまでも噂だ。 俺がそう聞くと、おばちゃんは目を見開いて驚いていたが、少しすると目を細め、話し出した。 「えぇ、良く知っているよ……」 「本当かっ!!?」 「えぇ、たぶんもうそろそろ来る頃だと思うけど」 .
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