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おばちゃんがそう言い終わるや否や、バンッ!!という豪快な音と共に、店の扉が開かれた。
そこに居たのは、俺より少し小さめの女の子だった。
「オルガさん、手伝いに来たよ!」
他の客は、何事だ?と、一度扉の方を向いたが、特に気にしたふうもなく、すぐにまた賑やかになった。
扉の所で大声を出していた女は、おばちゃん…もとい、オルガさんの元へて歩いて来た。
つまりは俺の真横だ。
「お兄さん、この子があなたの探しているっていう“火”の発能者だよ」
………………は?
この女が、か?
「嘘だろ……」
信じられず、ボソリと呟いたのだが、この女に聞こえていたらしく、不満そうな顔をしながらこちらを向いた。
「失礼ね……本当よ?」
どうやら本当らしい。
「お兄さん、この子に用があるんじゃないのかい?」
「いや、別に用がある訳ではないんだ。
ただ、ここにいる、ということを知っておきたかったんだ」
俺はそう言うと、懐からペンと少し大きめのメモ帳を出した。
「お前名前は?」
「………人に名前を尋ねるときはまず自分から名乗るもんじゃないの?」
肝が坐ってるよ……
「悪かった。
俺はアギト=アルベイン。
ある人の命(メイ)で世界中の発能者を記す旅をしている。
………これで満足か?」
「まぁいいわ…。
私はララ=シャルウィン。
聞いてのとうり、“火”の発能者よ」
「そうか……」
と俺がメモ帳に記しているときに、またもや豪快な音と共に、扉が開かれた。
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