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(この人たちと合格を争わないといけないのかー……)
より一層気を引き締めようと決め、――彼女は一人のイレギュラーを見つけた。
その人物は彼女の隣席の男だった。
この教室で、一人だけリラックスしていたのである。その瞳は、合格というよりもむしろ、来週から始まる予備校の授業を純粋に楽しみにしている輝きを放っていた。
(そうだ……)彼女は独白する。
昔は、彼のようにただ勉強が楽しみだった。難しい問題が解けた時の喜びは、他の何でも得られない。いつだろう。それを忘れてしまったのは。
思い出せないけれども、彼の姿勢――そこに彼女は自分にはない『心の強さ』を垣間見た。
このクラスにいるのだから、彼だって大なり小なり、周囲の期待というものはあったはずなのだ。それに負けない強さ。それに、彼女は心ひかれた。
(今日、これが終わったら、話しかけてみよう、っと)
そう考えた彼女の口元には、微笑が咲き誇っていた。
☆ ☆ ☆
こういった逸話がある。
人の魂とは、もともと一つの綺麗な球。それは、神様によって、いびつな形で半分に引き裂かれる。
その裂かれた魂は、多くの場合男女の体に別々に宿る。そして、魂は元の一つの形に戻ろうとする性質を兼ねそろえている。
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