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話の間、俺はテストの時に会った人のことを思い出していました。可愛い子だったなぁ……。ちょっと変な子でしたけど。
授業でもし会うことがあったら、話しかけてみましょうかね。うちの学校から浪人したのは俺だけでちょっと寂しいですし、できたら友達になりたいですね。
そんなことを考えている内に、オリエンテーションは終わりました。みんな、さっさと言葉少なに帰っていきます。俺も帰りましょうかね。荷物の整理やらないといけませんし。
俺は、田舎から上京してきて、今は一人暮しなんです。電車で通えない距離ではないんですが、高校を出たのにいつまでも親を頼る訳にいかないと思ったんです、家事的な意味で。金銭はおんぶにだっこですけれど。
配布された資料をクリアファイルに収め、ショルダーバッグにしまったときのことです。
「あのー」と、隣の席にいた娘(こ)が、ためらいを含んだ声音(こわね)で声をかけてきました。
「なんっすか?」
バッグを肩にかけ、顔を向けながらぶっきらぼうにならないように応えます。
隣にいたのは、肩下七センチくらいの長さで、明るい茶色の髪をした人です。顔のパーツはやや幼い感じはありますけれど、なんていうか、緩い印象を与えます。おっとりじゃありません。
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